企業が転職エージェントを使って非公開で保健師募集をする理由とは?
なかなか募集の少ない産業保健師の求人ですが、募集の多くは人材紹介エージェント経由の非公開求人として出されています。
では、なぜ産業保健師の求人は「人材紹介エージェント」経由で出されるのでしょうか?
この記事では、企業が産業保健師を募集する際に「なぜ人材紹介エージェントを使うのか?」という理由について書かせていただきます。
人材紹介エージェント経由の非公開求人で保健師募集をする理由
企業が人材紹介エージェントを経由して人材を採用する場合、一般的に採用した人材の年収の20%程度を紹介手数料として支払います。
年収が400〜500万の人材を採用した場合、×20%で80〜100万の手数料を支払うのです。
※ちなみに、看護師・保健師の紹介手数料は年収の20%程度が相場ですが、通常の企業で中途採用などで一般の人材(営業職とか経理職とか)を採用するときは年収の30〜35%程度が相場(職種によってはもっと高いこともあり)
これって高すぎ!って思いますか?
それでも多くの保健師求人が人材紹介エージェント経由で募集されているということは、それだけコストを掛ける理由が企業側にあるということです。
ではなぜそこまでのコストを掛けてまで人材紹介エージェント経由で募集するのでしょうか?
理由は大きく分けて以下の3つです。
理由1 募集していることを社内にも知られたくない
理由2 選考にかかる手間を回避したい
理由3 実は人事担当者は●●だから
それでは一つずつ解説していきます。
理由1 募集していることを社内に知られたくない
まずひとつ目の理由は「募集していることを社内にも知られたくない」からです。
これは産業保健師求人に限らない理由ですが、人材を募集する際に社内でも募集していることを伏せておきたいケースは多くあります。
特に、企業のなかで産業保健師職は他の職種と比べて少人数体制で1名体制のところが多いです。
そんな少人数体制のなかで新たな人員を募集するのは「退職予定者の後任募集」というケースがほとんど。
・少人数体制で運営しているので後任が採用できず欠員状態を作ることは避けたい
・一方で、まだ現在の職員が退職することは社内に周知していない
そんな状況で公開で募集してしまうと社内で既存職員が辞めるということがわかってしまいます。
そのため、多くの企業は人材紹介エージェントを経由して、公にはせずに非公開求人として募集を進めていきたいのです。
それが人材紹介エージェントを利用して非公開で募集する理由の一つです。
理由2 選考にかかる手間を回避したい
2つめの理由は「書類選考の手間を回避したい」から。
これも職種に限らず企業が人材紹介エージェントを活用するときの理由の一つです。
要は、1次選考代わりに人材紹介エージェントを活用して候補者のフィルタリングをするのです。
※一般的には候補者の母数を集めるという理由もありますが、公募で出せば比較的応募者が集まる産業保健師の採用ではフィルタリング理由のほうが強め
最初に書いたように、人材紹介エージェントを経由して採用すると年収の20%(80〜100万程度)の手数料を払う必要があります。それでも利用するということはそのコストをかける価値があるということです。
あなたもご存知の通り、産業保健師の求人は「就職希望者数 > 求人数」という完全に買い手市場。
募集条件にもよりますが、その状況で企業が公募で募集をかけたら多くの求職者からの応募が殺到します。
もし1名の採用枠に対して、もし仮に100名からの応募があったらどうなるでしょうか?
採用担当者は100人の応募書類をチェックして、誰を面接に通すかを決める書類選考を行います。
応募者の数が多ければ多いほど、応募書類をチェックしなければならず大きな手間がかかります。
しかも、応募者のなかには、
・短期で職場を転々としている転職回数多すぎの人
・求めている経験を持っていない人
・書類の書き方が下手で最低限のビジネスマナーを持ってないと見受けられる人
など、条件が見合わない人からの応募も多くあります。
そんな書類を含めて一つ一つチェックしていくことは採用担当者にとって大きな負担です。
「負担=コスト」なのです。
仮に100件の応募書類をチェックして、そのなかから良さそうな5名を面接に来てもらったとしても、その面接に来た人が経歴的には問題なくても、面接で会ってみたらコミュニケーション能力が低かったりで評価できず、マッチしないケースも当然あります。
そうなったら、その選考にかけた時間と労力(=コスト)に対して成果はゼロということになります。
であれば、人材紹介エージェントに求める人材の要件を伝え、人材紹介エージェント側でフィルタリングをされた人材を推薦してもらったほうが、圧倒的に効率的に選考を進めることができるのです。
人材紹介エージェントでは、経歴の確認は勿論、事前に面談をして人柄も確認をしています。
変な人を推薦してしまい、企業側からこの紹介エージェントはイマイチだなーと思われてしまうと、次に同様の募集があった際に求人の依頼をもらうことができなくなってしまうため、推薦する人材の見極めは厳しく行います。
人材紹介エージェントに支払う紹介手数料は、何人推薦を受けて何人面接をしようが、採用に至らなければ一切費用がかからない成功報酬型です。
しかも、紹介手数料は採用した人材が早期で離職した場合の手数料返金規定を契約に盛り込むため、コストを掛けて採用したけど無駄になってしまうというリスクも抑えられるのです。これを自社で全部やっていれば採用活動にかけた膨大な時間とコストは無駄になり、一からやり直しです。
そのため、企業側は自社で採用活動に何十時間もかけるのであれば、多少高額でも成功報酬で支払ったほうが効率的と考えるのは全くおかしな話ではないでしょう。
この「選考にかかる手間を回避したい」という理由で、多くの企業は人材紹介エージェントを使うのです。
※なので、産業保健分野への転職を希望するのであれば、転職エージェントとの付き合い方は求職者としてもめっちゃ重要です。このあたりのことは別の記事で紹介させていただきます。
理由3 人事担当者も良い保健師の見極め方がよくわからない
最後に意外と多い理由がこれ。
「人事担当者も良い保健師の見極め方をよくわかっていない」ということ。
「えっ、人事担当者って人事のプロでしょ?」「見極め方がわならないとかある⁉」
と思われる方もいるかもしれませんが、これは実際に多くの企業で見受けられる理由です。
多くの社員の採用に携わる人事のプロである企業の人事担当者でも、新卒採用や一般人材の中途採用と異なり、その企業で「産業保健師」を採用することは極めてケースが少なく、充分な知見を持っている担当者は稀です。
当然、人事担当者であれば最低限の労働安全衛生法などの知識は勉強しているとは思いますが、医療職の人材マーケットの知識があるわけではありません。そうなると、職歴をみてその人にどんなスキルがあるかが判断できず、しかも判断するためにどのような質問をすれば良いかもイマイチわかってないのです。
一方で、企業の人事担当者が携わるのは当然自分の勤務先の採用だけになりますが、人材紹介エージェントの担当者は自分が担当する複数企業の採用支援に携わります。
そのため、ケースの少ない保健師の採用については、その企業の人事担当者よりも人材紹介エージェントのほうが多くの知見を備えていることがほとんどなのです。
そこで、企業の人事担当者は、医療資格者を専門に取り扱う人材紹介エージェントにある程度の見極めをさせます。
医療系職種を取り扱う人材紹介エージェントは、推薦時に、その候補者がどんな人物で、どんな職歴があって、どんな経験・スキルが有るのかを、企業側の募集要件と照らし合わせて「キャリアシート」という推薦状兼略歴書に記載して企業側に提出し、企業側の判断の手助けをすることになります。
実際に、複数人の候補者を推薦し、全員の面接を終えたあとに、
「◯◯さん(=人材紹介エージェントの担当者である私)はどの人が良いと思いましたか?」
と人事担当者から聞かれることは珍しくありませんでした。
細かく分けると他にも理由はあるかもしれませんが、以上の3つが、企業が転職エージェントを使って非公開で保健師募集をする理由です。
まとめ
狭き門である産業保健師の転職活動においては、このような形で企業側の目線を知ることも就職を成功させるポイントになってきます。
ぜひ転職活動をする際には「企業側の目線」も調べてみてください。
また、このサイトでは保健師求人を探すためのポイントの一つである、転職サイト/エージェントの活用方法も記載しています。保健師転職支援の専門家目線で「本当に産業保健分野に強い会社」を紹介しているので、転職エージェントを選ぶ際には下記記事も参考になります。
保健師の元転職エージェントが教える本当に産業保健師求人に強い「おすすめ転職サイト」4選!
上記記事では、多くの転職サイトランキングが「看護師」の転職支援に強い転職サイトを一緒くたにして紹介しているのに対し、「本当に産業保健師の転職支援に強い」天正サイトを紹介しています。
世の中のランキングサイトに掲載されている転職サイトはほとんどが「看護師求人に強いサイト」です。
「産業保健師求人に強いサイト」は看護師求人に強いサイトとは異なりますので、転職サイトに登録したのに全然求人がなかったと無駄にならないよう、本サイトの記事を参考にして、ぜひ転職活動を成功させてください!
転職サイトを活用して保健師求人を探す方法はこちらのサイトも参考にしてください。
転職サイトを活用して保健師求人を探す方法
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