保健師がヘルステック企業に就職するという選択肢

「産業保健師希望として転職がしたいけど未経験で応募可能な求人がない」

転職活動をしてもなかなか良い求人が見つからなかったり、応募しても選考が通らないことが続くと、もう諦めて現職を続けようか、もしくは今までと変わらず医療機関へ転職するしかないか、と考えてしまうことはないでしょうか?

でも、諦める前に少し考えてみてください。
実は産業保健師として働きたいと思っている方にとって、少し目線を変えるだけで候補となる業界は他にもあります。

その一つが、タイトルにもあるように「ヘルスケア業界」や「ヘルステック企業」です。
では、なぜ産業保健師希望の人にとってヘルスケア業界やヘルステック企業が候補になるのでしょうか?


保健師の役割とヘルステック企業のミッション

まず、そもそも保健師の役割は何か?という点を考えてみましょう。

保健師の役割は、地域や企業の人の「健康の増進・疾病の予防」と考えると、企業内保健師であれば当然それを企業の利益に繋げる(or不利益を防ぐ)ことを前提にその役割を担うことになります。

そして「健康の増進・疾病の予防→企業の利益」という観点で、これを抽象度を上げて考えてみると、企業内保健師以外にもその役割を担うことができる仕事は多くあることがわかります。

「ヘルステック企業」のサービスや企業ミッションをみてみると、上述の保健師の役割と重なる部分が多く、産業保健師をやりたいと思う方の志望動機と重なる点も多いのです。

(※もっと抽象度をあげれば、産業保健師を企業に紹介する転職エージェントも選択肢に入るかも知れません)

というわけで、この記事ではヘルステック企業ではどのような仕事をしているか?
また、その分野で保健師がどのような役割を担い、知識経験を活かすことができるのかについてご案内します。

この記事を読むことで、産業保健師希望者にとってのキャリアの選択肢は企業内健康管理室だけではないと知ってもらえたらと思います。

ヘルステック企業とは?

ヘルステック企業とはどんな企業のことでしょうか?

ヘルステックについてはこちらの記事が参考になります。
→「ヘルステックとは?基本知識と活用方法を知る

ヘルステックとは、HealthcareとTechnologyを掛け合わせた造語になります。ヘルステックの概念は、病気の予防や健康管理、診療後のアフターケアのサービスが主な対象になります。

個人の医療情報の電子化が進んだことで「電子カルテシステム」による医療機関同士の共有、医療ビッグデータの利活用が可能になりました。他の業界に比べてICT化が遅れていると言われている医療業界ですが、ICT化は徐々に進展しはじめ、その鍵を握るのがヘルステックと言えます。

ヘルスケア分野にテクノロジーを導入し活用することで、個々人に関係している健康周り、未病予防に向けた管理が可能になります。
例えば、スマートフォンで遠隔受診を行う、薬を自宅まで届けてくれるなどの実現もその一つです。ヘルステックの活用によって、医療の質の向上、医療費の抑制、医療が抱える課題解決が期待されています。

ヘルステックとは?基本知識と活用方法を知る」より引用

ヘルステック企業の代表例

では、ヘルステック企業にはどのような企業があるのでしょうか??

ここでは代表的なヘルステック企業をいくつか紹介いたします(必ずしも医療職経験者を募集をしているわけではありません)。


①株式会社iCARE

iCAREさんは、「働くひとと組織の健康を創る」をビジョンに、法人向けヘルスケアサービスを提供しているITベンチャー企業です。

「人事の健康管理業務をミスなく、ラクに」というコンセプトで、健康労務の自動化クラウド「Carely(ケアリー)」というHRtechサービスで、企業人事が抱える社員の健康診断・ストレスチェック・過重労働などの煩雑な健康管理業務を楽にするための支援を行っています。

また、従業員の健康相談業務の支援もしており、人事や産業医と連携をとり、iCAREの保健師やカウンセラーがチャットで健康相談などを行うのもサービスの一つです。

 

 

企業名株式会社iCARE
ホームページ
採用ページ
https://www.icare.jpn.com/
https://www.icare.jpn.com/company/recruit/
企業理念・
ミッション・ビジョン
働くひとと組織の健康を創る
事業内容・健康労務の自動化クラウド「Carely」の企画・運営
・インターネット、携帯情報端末等を利用した各種情報処理及び情報提供サービス業務
・産業医による企業の健康管理指導受託業務
・医師による企業のヘルスケア管理指導受託業務
・人材紹介事業 ・労働者派遣事業
看護師・保健師資格者の募集有(Wantedly採用ページ
看護師・保健師資格者の社員例https://www.wantedly.com/projects/113329/staffings/1161386
一言メモ代表の山田氏も医師資格者で臨床経験や産業医経験がある方で、複数の医療資格者が活躍されています。クライアント企業に訪問し健康管理業務を担当する産業保健師職も募集されているので、是非チャレンジしてみてください。      

②株式会社OKAN

株式会社OKANさんは「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッション・ステートメントに、ヘルステックサービスを提供する企業で、社食サービスの「オフィスおかん」が有名です。

主に、自身の健康状態、家庭との両立、 同僚との関係、職場環境などといった「働きつづけられなくなる理由」である「ハイジーンファクター」に着目して、問題特定から改善解決までの支援サービスを企業向けに提供しています。

 

 

企業名株式会社OKAN
ホームページ
採用ページ
https://okan.co.jp/      
https://hrmos.co/pages/okan/jobs
企業理念・
ミッション・ビジョン
株式会社OKANは、「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッション・ステートメントに、人材不足が深刻である日本における企業課題と社会課題の解決に取り組み、「働きつづけられる」社会を実現することを目指しております。
事業内容・ぷち社食サービス「オフィスおかん」
・組織課題の可視化ツール「ハイジ」
・お惣菜の定期仕送りサービス「おかん」
看護師・保健師資格者の募集
看護師・保健師資格者の社員例https://www.wantedly.com/companies/okan/post_articles/185636
一言メモ従業員の満足度の低下や離職の原因の一つである「衛生要因(ハイジーンファクター)」の改善は産業保健師の役割とも一致します。保健師資格者の募集枠があるわけではないですが、保健師さんにとってやりがいのある仕事ではないでしょうか?

③株式会社メンタルヘルステクノロジーズ

現代社会において、多くの人は「労働」に多大な時間を割いています。
近年、健康経営、働き方改革という社会的な変化の最中、労働の提供先となっている企業をはじめとする法人は「現役世代の心身の健康が保ちにくくなっていること」にまだまだ気づいません。

そこで当社は、「健康経営に、実現力を。」というビジョンを掲げ、働き手が健康問題で不幸に陥らない「心身の健康問題を考えることが身近になる世界」を実現したいと考えております。

https://mh-tec.co.jp/company/message/ より引用

 

 

企業名株式会社メンタルヘルステクノロジーズ
ホームページ
採用ページ
https://mh-tec.co.jp/      
https://mh-tec.co.jp/recruit/
企業理念・
ミッション・ビジョン
ミッション「幸せをリデザインする」
ビジョン「「健康経営に、実現力を」
事業内容・メンタルヘルスソリューション
・ITソリューション
・医師斡旋業(子会社)
・嘱託産業医サービス業(子会社)
看護師・保健師資格者の募集不明
看護師・保健師資格者の社員例

④株式会社 FiNC Technologies

FiNC Technologiesは予防ヘルスケア×AI(人工知能)に特化したヘルステックベンチャーです。
私たちは、日本だけでなく世界中で問題視されている健康に関する課題を、最先端のテクノロジーを駆使して「手間なく」「ラクに」「楽しく」「安価で」「個人に最適」なサービスをお届けすることで解決し、「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」というビジョンを実現したいと考えています。

https://company.finc.com/recruit/ より引用

 

 

企業名株式会社 FiNC Technologies
ホームページ
採用ページ
https://mh-tec.co.jp/      
https://mh-tec.co.jp/recruit/
企業理念・
ミッション・ビジョン
一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする
事業内容・有料課金サービス事業
・EC事業
・広告企画事業
・パーソナルジム事業
・健康経営コンサルティング事業
看護師・保健師資格者の募集不明
看護師・保健師資格者の社員例

まとめ

以上、参考に4社を記載いたしましたが、ヘルステック企業は他にも多くあります。

直接的に看護師保健師を募集しているケースもあれば、医療資格者の募集はいていなくても、事業内容や提供するサービスが、企業における社員の健康管理の支援に繋がるものも多く、産業保健師の役割と重なる部分があります。

まだまだ事例は少ないですが、今後、今回紹介したようなヘルステック企業で活躍する看護師・保健師資格者は増えてくると思われます。

もし興味があれば他の企業もぜひ調べてみてください!

ヘルステック企業への転職については、産業保健分野に強い転職サイトと併行して、一般の転職サイトも利用するとよいでしょう。こちらは改めて紹介記事を書きたいと思います。

→【準備中】ヘルスケア業界・ヘルステック企業の転職におすすめの転職サイト