産業保健分野への転職を成功させる志望動機「3つのなぜ」の書き方
産業保健師の求人に応募しても、書類選考や面接で落ちてしまう。
なんで選考に通過できないのか?
理由は様々ありますが、選考に通らない原因の一つに「志望動機」の準備不足があります。
そこで、この記事では、産業保健師として転職を成功させるための「志望動機」の準備の方法を解説いたします。
なぜあなたの志望動機は選考を通過できないのか?
よくある志望動機の例。
「病棟で患者さんと接するなかで予防医学の重要性を感じたため、産業保健師としての就業を希望しました」
これよくみる志望動機です。
これの何がダメかわかりますか?
何がダメかわからない方は、ぜひこの先の記事を読み進めてください。
まずは、ざっくりとこの志望動機へのツッコミどころを記載してみます。
「病棟で患者さんと接するなかで予防医学の重要性を感じた」
→予防医学も重要だけど病院での治療も重要だよね?「予防医学の重要性を感じたため、産業保健師として」
→予防医学が重要なのは同意するけど、産業保健分野以外にも予防医学に携わる場所はあるよね?「産業保健師としての就業を希望しました」
→当社以外でも、産業保健師の募集はあるよね?
なんとなく伝わりますでしょうか?
この志望動機は厳しい言い方をすると「何も言ってないのと同じ」なんです。
予防医学は大事、という誰でも言えることを言っているに過ぎず、
当たり前ですが、誰でも言えることを言っても、他の候補者との差別化にはなりません。
採用担当者へのアピールにならないのは言うまでもありませんね。
ではどうすればよいのでしょうか?
志望動機は「3つのなぜ?」に答えることが必要
志望動機を書く際には「3つのなぜ?」に答える必要があります。
3つのなぜ?とは、ずばり、以下の3つの質問のことです。
1 なぜ「保健師として」働きたいのか?
2.なぜ「産業保健分野で」働きたいのか?
3.なぜ「その企業(応募先)で」働きたいのか?
シンプルな問いではありますが、極論、この3つさえ準備できていれば選考通過率は大きく変わります。
それでは、ひとつずつ見ていきましょう!
1「なぜ保健師として」働きたいのか?
1つ目は、なぜ「保健師として」働きたいのか?です。
先程のよくある志望動機をみてみましょう。
「病棟で患者さんと接するなかで予防医学の重要性を感じたため、産業保健師としての就業を希望しました」
繰り返しですが「予防医学が重要」というのは誰でもわかります。
誰でもわかるということは、他の応募者も同じことが言えるということ。
誰でも言えるということは、採用担当者に刺さらないということです。
なので、「予防医学の重要性」それを志望動機とするのであれば、「具体的なエピソード・ストーリー」が必要です。
なぜ保健師として?を掘り下げるために、
「病棟で患者さんと接するなかで予防医学の重要性を感じた」
という部分を、もっと具体的な自身の体験を言語化していきます。
もう一度、先程の志望動機をみてみます。
「病棟で患者さんと接するなかで予防医学の重要性を感じたため、産業保健師としての就業を希望しました」
これをもとに「具体的なエピソード・ストーリー」を考えていきます。
具体的にしていくには、以下のように抽象的な部分を掘り下げていくだけです。
病棟で患者さんと → どんな患者さんだったの?(どんな疾患?年齢は?性別は?)
接するなかで → どのような関わりを持った?(どんな話をした?本人の家族との関わりは?)
予防医学の重要性を感じた → 改めてそう思ったきっかけは?どんな出来事があったタイミングで?
例えばこんな感じ。
- 病院勤務時に、『不摂生が原因で病気になり後悔している患者さん』に関わる経験をしました。
- その患者さんは、『40代の男性で●●(なんらかの不摂生等)が原因で入院された』のですが、
- その方が『病気になったことで、仕事で大きなプロジェクトを任されていたのに、穴をあける形となり、職場にも大きな迷惑をかけてしまった』とおっしゃってました。
- 私はそれまでは、『看護を通して元気になって退院してもらうことが自分の役割と考えていましたが、病気は本人だけの問題ではなく、その人に関わる全ての人、家族や勤務先にも大きく影響があることと改めて認識』しました。
- その経験を通じて、改めて予防の重要性を感じ、産業保健師としての就業を希望しました。
いかがでしょうか?
最初の文章よりだいぶ具体的になったと思います。
「なぜ保健師として」働きたいのか?」を答えるには、
私は「そのように考えた具体的な経験が背景にあり」、予防医学の重要性を感じ保健師としての就業を希望した。と、この「具体的な経験」を含めた内容にすることなのです。
少し内容は薄いですが、上記1〜5の、1の部分がこの答えに当たります。
2「なぜ産業保健分野で」働きたいのか?
次に答える必要があるのが、なぜ「産業保健分野で」働きたいのか?という問いです。
なぜ産業保健分野で?
あなたはこの質問に答えられますか?
「いやいや、予防医学重要だから産業保健師として働きたいって言ってるじゃん。
なんで予防医学が重要と思ったのかはさっき答えましたよね」
と思われるかもしれませんが、予防医学に関われる場は「産業保健」分野だけではありません。
同じ保健師でも、地域保健(行政)でもなく、学校保健でもなく、なぜ「産業保健」分野で働きたいのか?
という質問に答える必要があるのです。
もし、「企業は福利厚生良さそうだから」というのが本音だったとしても、
面接で採用担当者が納得する答えを準備する必要があるのです。
ここで改めて先程の志望動機例をみてみましょう。
- 病院勤務時に、『不摂生が原因で病気になり後悔している患者さん』に関わる経験をしました。
- その患者さんは、『40代の男性で●●(なんらかの不摂生等)が原因で入院された』のですが、
- その方が『病気になったことで、仕事で大きなプロジェクトを任されていたのに、穴をあける形となり、職場にも大きな迷惑をかけてしまった』とおっしゃってました。
- 私はそれまでは、『看護を通して元気になって退院してもらうことが自分の役割と考えていましたが、病気は本人だけの問題ではなく、その人に関わる全ての人、家族や勤務先にも大きく影響があることと改めて認識』しました。
- その経験を通じて、改めて予防の重要性を感じ、産業保健師としての就業を希望しました。
はい、すでに「なぜ産業保健分野で?」という点には答えてますね。
上記1〜5のうち、2〜4(+5)が、この答えに当たります。
ポイントは「なぜ保健師として?」と同じ。
「具体的なエピソード・ストーリー」に落とし込んでいくことです。
そして、そのエピソードが「産業保健」に繋がる内容にしていけばよいのです。
上記の志望動機例のポイントをまとめると、、、
- 1と2が、どんな患者さんだったのか、具体的に掘り下げ(解像度を上げ)た形、
- 3が、どのように接点を持ったか(今回の場合はどんな会話をしたか)を具体化し、
- 4で、その経験があったから、予防医学に関わりたいという思いを、より説得力を持って伝えています。
また、こうやって具体的に掘り下げていくことで、他の応募者とは違う、あなた自身のオリジナルの内容になっていきます。それが重要なのです。
具体的で解像度の高い内容であればあるほど、その話を初めて聞く採用担当者にとっても、その情景が頭に浮かびますので、より印象に残ります。そして、表面的な誰でも言えることを話す応募者よりも、具体的なエピソードをもとに話すあなたの印象が良くなるのは言うまでもありません。
ここで再度、志望動機を書く際に必要な「3つのなぜ?」をみてみましょう。
1 なぜ保健師として働きたいのか?
2.なぜ産業保健分野で働きたいのか?
3.なぜその企業(応募先)で働きたいのか?
先程の具体的に掘り下げた志望動機の場合、1と2に答えた形になります。
※もし、現在の勤務先が小児科だったりで成人の患者さんと接する機会がない場合、2に答えとなるエピソードを用意する難易度は上がります。その場合、この記事では個別具体に答えるのは難しいため、もし、そういったキャリアの方で、志望動機を考えるのに苦戦している方は、質問箱で個別にご相談いただければと思います。
◆質問箱 → https://marshmallow-qa.com/hokenshinavi
ここまでで、「3つのなぜ?」のうち、1つ目と2つ目を考えました。
あとひとつ残ってますね。
「3.なぜその企業(応募先)で働きたいのか?」です。
これが一番むずかしいかもしれません。
3「なぜその企業(応募先)で」働きたいのか?
「なぜその企業(応募先)で?」という質問。
これけっこう難しいですよね。
そもそも産業保健師の求人数自体が少なく、応募できる機会も限られていることを考えると、正直なところ、その企業じゃなくても、求める待遇を満たしていて、産業保健師として働けるなら、他の企業でも良いっていうのが本音のケースも多いと思います。
ただ、採用する側の目線に立てば、「採用してもらえるならどの企業でも良い」と考えている人は採用しませんよね。
なので、(本音がどうであろうと)
「●●という理由で、私は御社で働きたいのです」
という「なぜその企業で働きたいのか?」という点に答えることが重要になります。
では、どうやって「その企業で」の答えを構築していけばよいのでしょうか?
そのためには、その「企業を知る」ことが重要です。
- その企業の業種は?
- 職員の年齢層の傾向は?男女比は?
- 会社風土は?
- 掲げている経営課題は?
- 産業保健活動として実施している取り組みは? etc
少なくとも上記ポイントは事前にホームページをみたり、インターネットで検索したりして調べ把握しておきましょう。
当たり前ですが、まだ社歴も浅く若い年代が多いIT企業と、社歴も古く中高年層が多い製造業とでは、まったく会社の経営課題も違えば、産業保健師に期待される役割も異なってきます。
また、昨今は、各企業の人事部門や健康管理室で、産業保健活動として「●●活動」「●●プロジェクト」といった、企業それぞれの健康課題に取り組む活動を実施しているケースもあります。
これらは、ホームページで調べることで確認できるケースもありますが、ホームページ上で情報が公開されてないケースもあります。もし、転職エージェント経由で応募している場合は、担当のエージェントに聞いてみましょう。
転職エージェントによっては産業保健師の転職のポイントをあまり把握してない会社もあるので気をつけてください。多くの求人が人で不足で売り手市場の看護師と、求人数も限られ狭き門の産業保健師の転職はまったく異なります。以下記事で「本当に産業保健師求人に強い」転職サイトを紹介しているので参考にしてください。
それでは、上記踏まえて、「なぜその企業(応募先)で?」の志望動機の一例を書いてみます。
- 御社の健康管理室で推進している「●●活動」の独自の取り組みに共感したため志望いたしました。
- ●●活動で掲げられている「◯つのアクションプラン」のなかで、特にXXXという取り組み関しては、私が病棟で働いていて患者さんと関わった中でも▲▲▲という出来事があり、私自身、XXXの取り組みの重要性をとても実感しています。
- 普段の生活からXXXに注意していれば、▲▲▲は予防できますが、企業活動のなかで、社員の皆様にその重要性を伝え、継続して取り組んでいただくことは簡単ではないと思います。
- 私が病棟で▲▲▲という出来事を経験したことは、●●活動を推進していくなかで、その重要性を実感値を持って社員の皆様にお伝えできるため、自身の経験を活かせると考えています。
- XXXを含め、●●活動というすばらしい取り組みを行っている御社で、ぜひ一緒に働きたと考えています。
応募する企業の取り組みや、ご自身の経験によって●●や▲▲の箇所は考え当てはめてみてください。
この内容のポイントは、
- その企業独自の取り組みである「●●活動」に触れることで「なぜその企業で?」に答えつつ、
- その活動に共感した背景、自分自身の経験を伝え、
- (仮に産業保健師としての経験はない場合でも)、その経験は応募先企業で活かせることをアピールし、
- 最後に改めて思いをプッシュ!
という感じの構成になっています。
まとめ
この記事では、産業保健分野への転職を成功させるための志望動機のポイントである
「3つのなぜ」の書き方について解説しました。
1 なぜ「保健師として」働きたいのか?
2.なぜ「産業保健分野で」働きたいのか?
3.なぜ「その企業(応募先)で」働きたいのか?
記載した志望動機例はあくまでも一例になりますので、これまでの経験・キャリアによっては当てはまらない方もいらっしゃるかと思いますが、なるべく汎用的な形でアレンジしやすい内容で書いたつもりです。
ご自身の選考通過率アップのため、ぜひ参考にしてみてください。
また、自分でうまく志望動機を構成できない場合もあるかと思います。転職エージェントでは志望動機の書き方を含めて転職の支援をしていますので、ぜひうまく活用してみてください!
みなさんの産業保健師転職の成功をお祈りしています。
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